South Sulawesi その5

採集3日目、最終日。

2日目終わりにハンターさんに本来の目的であるレカノの写真を見せたら、似たようなのを見たことある、とのこと。超期待して向かいました。


どんどん山を登って、標高を見てみると1400mあたり。今回一番高いところまで登ってきた。天気は曇りだったけど、このぐらいになるとやはり涼しい感じ。

2日目に見つけたアリダマがちらほら見える。さてレカノは・・・と木々を見ると枝に黒い塊が。近寄って見れる場所に行ってよく見ると着生蘭や他の着生植物の塊。あれも違うしこれも違う、と上を見ながら登っていくと
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唐突に道に倒木と一緒に落ちてるー!!!
これは!!この棘は!!!Lecanopteris balgooyi!!!!

目的のレカノではないけどめちゃくちゃ嬉しくてニヤニヤが止まらなかったです。スラウェシ島固有のレカノです。分布的にはもう一種あるんだけどそっちはもうちょい標高が低い。
切り倒された松の大木がごろごろ転がっていて、その枝にくっついていました。よく見るとまだ生きている根茎があるので、帰りに切り取って持ち帰ろうと、とりあえず先に進む。


間違いなくここにある!とまた周りの木々を見てみるけど見つからない。黒い塊が見えるけどレカノっぽくないなぁと思いながら進んでいく。




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Stachytarpheta sp.

花序が長い面白いのがあるなぁーと思ったらこれ帰化植物ですね・・・。こんな山奥にもあるのか・・・。australisっぽいけどちょっと葉の感じが違うかな?


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Selaginella sp.

いいでしょ?でもこれ採ってないんだよ・・・。何故かってまたレカノに興奮して他がどうでもよくなってしまって・・・


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Marchantia sp.

扇状の変わった?ゼニゴケ。

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あったー!!!

今度は若い株!崖を登れば取れそうな場所に!ただちょっと取りづらいので他に場所がないか探すことに。

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アリダマとレカノのコラボレーション。ここが天国か・・・
しばらく進むと霧がかってきた。完全に雲霧林と化してるなぁ。

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Nepenthes glabrata

すぐ隣に鈴なりのネペンが!光に透けた白い壺が幻想的。まるでライトのように光って目立っていました。

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暗い森に入ってもアリダマが。ここでも葉柄は赤く染まっていました。強い日照で色づくって訳でもなさそう。

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Lycopodium casuarinoides
ヒモヅル。記録があるので多分これかな?

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Selaginella sp.
繊細なセラジ。ほぼ溶けちゃったけど・・・

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2日目に見たエスキナンサス。暗い場所では赤くならないですね。ラフィドフォラかと思った。

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Oleandra sp.

山の中に腐るほど生えてて採る気にならなかったけど採ればよかったなぁ・・・
ちゃんと見てないので種類わからず・・・


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Paphiopedilum 多分celebensis

スラウェシって土地の名前付いてるの多いですね。固有種の宝庫。近年発見された植物多いし、まだまだ開拓し甲斐がある。

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素晴らしい苔。
持ち帰ったけど帰国後インフルでぶっ倒れてる間に真っ黒に・・・

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Scyphularia pentaphylla

Davallia pentaphyllaはシノニムですね。これは個人的にかなりツボなシダでした。特別珍しいシダってわけではないんだけど。

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ネペン・・・これは何だろう?


写真がぼけてしまってる・・・
襟の形が色々あるみたいですね。ネペンテス沼はとてつもなく深いからあまり近づかないようにしてるけど、やっぱいいなぁ~

一通り回ったけどレカノが取りやすいスポットになかったのでさっきの崖のところに戻る。
身軽なハンターさんが無理して登ってくれて手が届きそうなレカノを剥がして下でキャッチ。小さい欠片だからそんなにアリ居ないだろーと思ってキャッチしたら、ぽとっと手に落ちた瞬間黒い霧のようにアリがぶわーっと!笑 すぐに払ったけど背中やらお腹やらに入りこんで噛みまくってました。あぁ~これがアリに噛まれる痛みか~と感動しながら痛みを楽しみました。

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若い根茎。このぐらい新鮮じゃないと育てられないですね。




戻る途中、小屋の近くの松の大木を見上げると
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あった!とてつもなく高い・・・。どれも2、30mぐらい上に付いててとても手が届かない・・・。

周りを見回すとあちこちに。最初は全然わからなかったのに、山から下りるときにはどれだけ高い場所でも認識できるようになってました。不思議ですね。



入り口付近まで戻って落ちていたレカノの大株を解体。まだ生きている根茎を切り取り、古いのは標本として持ち帰る。中からはおそらく地上性の大きいアリがたくさん出てきました。切り倒されて結構経っていたんだと思います。

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こんなのがごろごろと。ほぼ死んでたけど。
ちゃんとあの特徴的な棘の部分も空洞になってるんですよ。

小雨降るなか下山。
これで今回の採集は終了。



色々調べて行ったけど、結局は行ってなるようになったって感じですね笑
うまいこといい出会いがあり良かったです。あぁ~こうやって書いてるとまた行きたいな。スラウェシのレカノは全種見たいです。

帰国して気付きましたが、今回見たLecanopteris balgooyi、出回ってる株や標本と葉の形状が違いました。アリ植物の研究者のフォーラムに投稿して聞いてみましたが、論文に載ってる形状と一緒だよと言われましたが、本当にそうなのか・・・?とりあえずネットには今回自生地画像が初めて出ると思うし、どの栽培株を見ても単葉に近い形状。フォーラムでもこれらの(栽培株の)画像は紛らわしいみたいなこと言ってたけど・・・。流通してる株を入手して育てて検証してみようと思います。
balgooyiの自生地はもうちょい北のほうにもあるのでそちらにも行ってみたいですね。どうやら標本の株は今回とは違う場所のようだし。


今年もまた行く予定です。色々とリベンジ・・・!